「大和」が建造できた秘密を見たように思う
上巻の後半に続き、大和は建造中である。 戦艦の構造の説明は、読者にできるだけわかりやすく伝えようとする、著者の熱い思いはこちらにも伝わってくる。 大和とくれば、武蔵である。あの頃、双子の「武蔵」も建造中であった。大和は海軍の呉工廠で建造し、武蔵は民間のM重工長崎造船所で建造中である。 ところが、「大和」は西島さんの画期的な生産管理法で、「武蔵」の半分の工数でできたという事実を初めて知った。 しかし、西島さんは何と43歳の若さで終戦を迎え浪人になったが、その後造船業に行かなかった。いや、行けなかった。優秀すぎたがために、…しかし惜しいなあ。戦後の復興をかける日本は、人材はほしかったのに。 西島さんには、戦後はもっともっと活躍してほしかったと思う。大成功したプロジェクトの成果に対して、戦後の西島さんへの評価と処遇は、あまりにもさびしいと思う。 ただ、西嶋さんが呉の工廠で育てた人たちは、戦後造船業界を中心に活躍されて、造船王国日本を築かれた。だから、西島さんは戦後の日本にも貢献したといえなくもないが。育てた方にはどんな人がいたか、この本から一人だけ例をあげれば、後に I 重工の社長、NTT会長になった真藤恒さんがいる。 下巻まで読んだ感想として、ただ一点、注文をすれば、もう少し西島さんの家庭での話など、人間的な面をもっと書いてほしかったと思う。それがあれば、読み物としての面白さがもっとあがったのではないかと思う。
講談社
戦艦大和誕生〈上〉西島技術大佐の未公開記録 (講談社プラスアルファ文庫) 技術者たちの敗戦 戦艦「大和」開発物語―最強戦艦誕生に秘められたプロセス (光人社NF文庫) 悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘 ドキュメント戦艦大和 <新装版> (文春文庫)
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